分数方程式は、文字を含む式が分母にある方程式です。いきなりたすき掛けのように交差して掛けるのではなく、まず分母を0にする値を調べます。その値を定義域から除いたうえで、すべての項に共通分母を掛け、得られた方程式を解きます。最後は必ず元の式に代入します。
分母を払うと式の見た目は簡単になりますが、元の式で許されなかった値が候補として出ることがあります。そこで、条件と検算までを一続きの手順として扱うことが大切です。ここでは一次方程式になる例、候補を除く例、二次方程式になる例を順に確認します。


定義域と最初の例題
2/(x − 1) = 3/(x + 2) を解きます。分母を見ると、x = 1 と x = −2 では式が定義されません。したがって、変形を始める前に x ≠ 1, −2 と書きます。これは最後に確認すればよい候補ではなく、最初から解として認められない値です。
共通分母は (x − 1)(x + 2) です。両辺に掛けると 2(x + 2) = 3(x − 1)。展開して 2x + 4 = 3x − 3 だから x = 7 です。7 は除外した値ではなく、元の式でも 2/6 = 3/9 = 1/3 となります。よって解は x = 7 です。
分母を払う前に除外する値を書き、最後は変形後の式ではなく元の式で検算します。
すべての項に共通分母を掛ける
次に 1/(x − 2) + 3/(x + 2) = 8/(x² − 4) を考えます。x² − 4 は (x − 2)(x + 2) と因数分解できます。したがって x ≠ 2, −2 であり、共通分母は (x − 2)(x + 2) です。
左右のすべての項に掛けて約分すると、(x + 2) + 3(x − 2) = 8。整理して x + 2 + 3x − 6 = 8、4x = 12 なので x = 3 です。元の式に戻すと 1 + 3/5 = 8/5 となり、正しい解だと確認できます。
- 各分母を最後まで因数分解する
- 分母を0にする値を定義域から除く
- 異なる因数を必要な次数まで集める
- 左右のすべての項に共通分母を分配する
約分できる理由を理解する
方程式の両辺に0ではない同じ式を掛けても、等式は保たれます。先に定義域を決めたことで、分母の各因数が0ではないと分かっています。そのため、共通分母を掛けたあとに同じ因数を約分できます。条件を書かずに進むと、この根拠が見えなくなります。
分子全体には括弧を付けて扱います。たとえば −(x + 4)/(x − 3) に x − 3 を掛けた結果は −(x + 4) であり、−x + 4 ではありません。分数が消えた後の符号や分配法則のミスも多いので、一行に一つの変形を書くと安全です。
条件に合わない候補を除く
(x + 1)/(x − 1) = 2/(x − 1) では x ≠ 1 です。両辺に x − 1 を掛けると x + 1 = 2 となり、候補は x = 1 です。分母を払った後の計算自体は正しくても、その値は元の分母を0にします。
したがって、この方程式に解はありません。分母が式から消えたからといって、最初の条件まで消してはいけません。候補が元の分母を0にする場合、または元の式へ代入して左右が一致しない場合は、解から除きます。
二次方程式になる場合を解く
1/x + 1/(x − 2) = 1 を解きます。条件は x ≠ 0, 2 です。すべての項に x(x − 2) を掛けると、(x − 2) + x = x(x − 2)。整理すると 2x − 2 = x² − 2x、すなわち x² − 4x + 2 = 0 になります。
解の公式から x = (4 ± √(16 − 8))/2 = 2 ± √2 です。どちらも0でも2でもなく、元の式へ代入すると等式が成り立ちます。分数方程式は、分母を払えば必ず一次方程式になるわけではありません。残った多項式に合う解法を選びます。
定義域と解集合を分けて考える
除外する値は元の分母だけから決まります。一方、解は元の方程式全体を成り立たせる値です。この二つを別に記録しましょう。除外した値が必ず計算途中で候補になるわけではなく、除外した値を解集合に含めることもありません。
分母を払った結果が 0 = 0 のような恒等式になることもあります。その場合は、最初に除外した値以外のすべてが解です。0 = 5 のような矛盾になれば、定義域に多くの値が残っていても解はありません。
よくある誤りと危険な近道
交差して掛ける方法がそのまま使えるのは、基本的に左右がそれぞれ一つの分数になっている比例式です。その場合も分母の条件が先です。1/x + 1/(x − 2) のように和がある式では、すべての項に共通分母を掛けます。
足し算をまたいで約分する、共通分母の因数を一つ落とす、片側だけに掛ける、変形後の式だけで検算する、といったミスにも注意します。因数分解、定義域、分母を払う式をそれぞれ別の行に書けば、抜けた項を見つけやすくなります。
自力演習のあとEqoraで確認する
解答を見ずに、3/(x + 1) = 2/(x − 2)、1/(x − 3) + 2/(x + 3) = 3/(x² − 9)、(x + 2)/(x − 4) = 6/(x − 4) を解いてみましょう。答えは順に x = 8、x = 2、解なしです。三問目の候補 x = 4 は分母を0にするため除外されます。
各問で、定義域、共通分母、分母を払った式、元の式での検算の四つを必ず示します。途中の約分や候補の扱いが分からないときは、Eqoraに問題全体を読み込ませ、その一行だけを確認できます。符号や分母が正しく認識されたかを確かめ、説明を閉じてから類題を自力で解きましょう。AIも記号を読み違えたり計算を誤ったりするため、最後の根拠は自分で書いた条件と代入です。
今すぐ実践する
今日の宿題や復習リストから一問を選びます。まず自分で取り組み、考えが止まった箇所を確認するときだけEqoraを使いましょう。
- 解く前に、問題が何を求めているかを口に出す
- 理由を言えない最初の一歩を指し示す
- その一歩についてEqoraに的を絞った追加の質問をする
- 解答を見ない似た問題で締めくくる
学習の流れは、紙に答えがあるから終わるのではなく、やり方がより明確になったから終わります。
